霊界の最高機密二

宇宙創造の゛からくり゛を解く

王仁三郎は、「神は宇宙の活動力」という。そして宇宙剖判から創造の模様の数十億年を、超早送りで神から見せられている。宇宙成立以前の天もなく地もない遙かな昔、大虚空があった。すなわち「無」の時代である。西洋哲学の伝統の中では、「無から何ものも生じない」と考える。だが中国では、老子によって無の思想が始まり、西田哲学は絶対無を説いた。王仁三郎もすべてのものは無から始まると説く。龍樹菩薩は空(くう)を説いた。空というのは神または霊ということである。目に見えず耳に聞こえぬ世界であるから、空というのである。空相は実相を生む。霊より物質が生まれてくることを意味する。無より有を生ずるというのも同じ意味で、神がすべての根元で森羅万象を生ずるのである。霊が先であり、体が後である。家を建てようという思いは外的に見て空である。けれどもその思いの中には、ちゃんと立派な建造物ができ上がっているのである。それがやがて設計図となって具体化する。さらに木材の蒐集となり、組立となり、ついに実際の大厦高楼が現出する。空相が実相を生み、無より有が生じたのである。真如実相という意を聞〈のか。真如は神、仏、絶対無限の力をいうのであるから、前と同じ意味である。実相は物質的意味である。(『月鏡』「空相と実相」)そして王仁三郎は、幽(無)から顕(有)への発展過程を四つの段階に分けて説明している。幽の幽(無の無)幽の顕(無の有)顕の幽(有の無)顕の顕(有の有)あなたは顕の顕の存在である。だがそれ以前は母の胎内にいて、見ることができない。この状態が顕の幽である。そしてその前の段階に父と母の出会いがある。その時点では、父と母との意識のなかでも、あなたは存在しない。しかし愛の結びによって、母の胎内に一点の(ホチ)、が宿る。その状態が幽の顕である。ところがその父と母もすぐに愛の結びに至ったわけではなく、無意識のなかでお互いが何かを求め合っていた。その状態を幽の幽という。この世で起こることのすべてが、このような段階をへて顕在化する。さて本論に戻ろう。。まったく何もない宇宙の大虚空(幽の幽)に、忽然と葦芽(あしかび)(葦の若芽)のような一点の、「ヽ・ほち」が現れ、「ヽ」は次第に拡大して一種の円形○を作る。その○は湯気よりも煙よりも霧よりもかすかな神明の気を放射していき、○を包んで◎の形になる。宇宙誕生の瞬間である。これが宇宙の大元霊、主神の幽の幽の状態であり、古事記では、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)という。主神の静的状態にある時は、時間・空間を超越している。時間・空間がないのではなく、またあるのでもない。その観念の起こるべき素因がないのだ。余談になるが、不思議なことに王仁三郎の拇印がまさしく○を丸く囲んだ◎の形になっており、大本では「スの拇印」という。大本から派生した宗教団体のなかには、◎を主神の象徴として標識に使用している教団もある。◎は最初に人間の耳には聞こえない幽(かす)かな、微(ほの)かな「ス」という言霊を生む。言霊とは、言葉に宿っている霊妙な力のこと。そのスの言霊がどこまでもス-ス-ス-と伸ぴ広がり、ふくれ上がってウの言霊を生む。このウの言霊は嶋り鳴りて鳴り極まるところ、上にのぼって神霊の大原子である霊素が発生する。これが古事記でいう高皇産霊神(たかみむすびのかみ)である。またウの言霊は下がっては物質の大原子である体素を醸成する。あらゆる物質の体を生み出す根源の言霊であり、古事記に示す神皇産霊神(かんみむすびのかみ)である。霊素・体素をかもし出したウの言霊は万有の霊と体を生み出す根元であり、ウの言霊を生み出したスの言霊はさらにその総根源である。言霊学では、霊はヒ、チであり、体はカラ、カラタマを指す。また人は霊を止める存在だから、霊止(ヒト)という。またこの宇宙には、産霊(結び)という奇(くし)びな働きがある。
古事記冒頭の文章を引用する。天地(あめつち)の初発の時、高天原に成りませる神の名は、天之御中主神、次に高御産巣日(高皇産霊)次に神御産巣日(かんみむすび)(神皇産霊)神、この三柱の神は並独神(みなひとりがみ)成り坐して、身を隠したまひき。高皇産霊、神皇産霊の神名に使われる産霊(むすび)の産は産む、蒸すの意であり、霊は霊、日、命の意がある。単なる連結ではなく、まったく相反するものが結び合うことで、新しい生命を生み出すという力だ。例えば陽極と陰極の結びで電気が生まれ、酸素と水素の結びで水が生まれる。男と女の愛の結びによって子供が生まれる。宇宙間に発生した霊(チ)素と体(カラ)素が結んで霊体(チカラ)素、いわゆる力が生まれる。この三つの霊力体が万物活動の原動力になる。重ねて言うが、天之御中主神はいわゆる大元霊を指し、高皇産霊(高御産巣日)は一言霊から作られた霊素で霊系の祖神、神皇産霊(神産巣日)神は同じくウの言霊から作られた体で体系の祖神になる。高皇産霊神も神皇産霊神も、天之御中主神の活動に合わせて発生する霊体二元の働きを表現した神名である。三神でありながら一神、一神でありながら三神という三位一体の関係にあり、造化三神と言われる。また三つの身魂、すなわち瑞の身魂という。さらにウの言霊は活動を続ける。上に昇りつめてアの言霊を生み、さらには下にくだってオの言霊を生む。ここに天の言霊であるア、オ、ウ、エ、イの五大父音が生まれる。五十音の五大母音にあたる。さらに七十五声の言霊が生まれ、それぞれが相和して鳴り響く。言霊のビッグパンである。これにより宇宙間に精気が発生し、精気から電子が生まれ、電子が発達して電気が発生し、動・静・解・凝 (ぎょう)・引・弛・合・分の八力が完成する。こうして霊界が形成されるが、幽の顕の段階で、まだ現界はできていない。